1970年代の化学物質の環境基準制定や化学物質審査規制法に始まった我が国の化学物質対策は、時代の要請や国際的な潮流を背景にその対象を拡大し、逐次制度の見直しと対応が進められてきた。近年においても化審法の改正、水俣病経験国としての水銀条約、工業用ナノ材料への環境影響防止ガイドラインの策定、POPs条約への9物質群の新規追加など、その課題は多い。
また化学物質の安全性や情報に関する社会や市民・消費者の関心は高く、2001年より化学物質の環境リスクに関する情報の共有及び相互理解を促進する場として市民と産業、行政、学識経験者による「化学物質と環境の円卓会議」が進められている。
現在、我が国の化学物質管理政策は新たな局面を迎えている。円卓会議や世論調査を通して浮かびあがった課題や克服策、将来ビジョンの実現においては、包括的な化学物質対策の一環として「化学物質基本法」の制定が急務である。 |

プロフィール
中央大学商学部会計学科卒/米国ミネソタ州カールトン大学留学単位取得
/同志社大学大学院総合政策科学研究科修士課程修了。
修士論文
「日本社会におけるNPO(民間非営利組織)の現状と方向性—新たなセクターとしての役割と可能性の考察—」 |
環境保全、従業者の安全確保、災害の防止などの観点から、化学物質を適正に管理することは、当然のことであろう。特に、多種多様な化学物質を使用する研究機関(あるいは開発部門など類似した環境)では、生産現場や一般の事業所に比べて確実な管理のための工夫と日常的な確認が重要である。
こうした化学物質の管理については、行き届いた法規制があり、また現場により最適な方法に違いがあるので、あまり詳細に立ち入らず、産業総合研究所の事例を紹介するに止める。
一方、使用された化学物質(使用されなかった化学物質を含む)は、製品あるいは排ガス、排水、廃棄物として事業所外へ出ることになる。製品は、使用終了時までには大きな問題を引き起こすことはほとんど無いが、その他の形態の場合は直ちに環境中に出るため、場合によっては大きな環境問題を引き起こす可能性がある。
ここでは不用意に環境中に出た化学物質が引き起こした問題の実例を示すとともに、特別な注意が必要となる化学物質を含む廃棄物の焼却処理について、その重要性に触れた。 |

プロフィール
1972年3月
慶應義塾大学工学部機械工学科卒業
1978年4月
東京電機大学工学部機械工学科助手
1981年4月
工業技術院公害資源研究所 研究員
2005年4月
数回の組織変更等を経て(独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 燃焼評価グループ長
2010年4月
(独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 招聘研究員
2010年4月
慶應義塾研究推進センター 産官学連携コーディネーター
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廃棄薬品や実験廃液等の試験・研究系廃棄物は、学内・施設内での取扱い時や保管中、また廃棄処理時に有毒ガスの発生や火災・爆発等の事故を惹き起こす潜在的リスクを抱えている。
それゆえ適切な管理のもと安全に保管・廃棄されるべきであるが、学内外において未だ事故やトラブルが後を絶たない。その原因は排出者の安全に関する自覚不足や、後工程である廃棄物処理業者への内容成分に関する情報伝達の不十分さに起因している。
試験・研究系廃棄物の適正な処理に関し、廃棄物処理業者の視点から学内・施設内での課題や事故事例を紹介すると同時に改善すべき本質的な課題が幾つか挙げられた。 |

プロフィール
平成2年3月、埼玉工業大学環境工学部卒業。同年4月入社。工場技術職や営業を経て、現在同社の事業部長兼工場長を務める。また、廃棄物処理業においては安全管理が不可欠であることから、現在同社の安全衛生に関する統括責任者を務める。 |
誤った取扱いにより有毒ガスの発生や火災・爆発等の事故を惹き起こす危険性を持つ化学薬品や試験・研究系廃棄物。
これらの安全管理や排出の責任は、その化学的危険性を一番熟知している試験・研究者にある。しかし、その責任所在や廃棄の際の注意事項、何を情報として伝えなければならないのか等、十分に周知されていない場合もある。
安全管理の実現のためには、試験・研究者と管理部門が連携し、体系化やシステム化が不可欠だ。また、化学物質管理の観点からも化学物質の購入や使用、保管、適正な廃棄は無論、学生や研究スタッフへの安全教育まで展開していく必要がある。 |

プロフィール
平成8年3月、武蔵大学人文学部卒業。同年4月入社。入社以来、廃棄物処理に関する営業畑一筋に、お客様の課題解決を目指し、試験・研究系廃棄物の廃棄は無論のこと、化学装置・設備の撤去に伴う各種除去作業等を数多く手掛けてきた。 |
| セミナー参加者の声 |
- 試薬・試液の管理を行なう際には多くの法規制があり、また複雑である。
「化学物質基本法」の制定についての話が興味深かった。(製薬会社A社)
- 化学物質を扱う当事者として、いま一度管理方法などを見直す必要性を感じた。(分析会社B社)
- 大学における廃棄物管理のシステムは進歩している。しかし、若い研究者の入社後の意識は高いとは言えないようであり、社内教育の重要性を感じさせられた。(化学メーカーC社)
- “真の排出者”である研究者や部門への教育をどの様にしていくのかをあらためて考えさせられた。(プラントメーカーD社)
- 廃棄物の排出側として、どの様な義務を果たさなければならないのか身につまされた。
担当者や学生など、排出現場にいる人を対象にどんどん講演していくべきだと思う。(E大学関係者)
- 廃棄物担当者も管理や教育面で苦慮している状態があり、排出事業者と廃棄物処理業者双方の協力の必要性を感じた。(F研究機関)
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