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廃掃法

契約は口頭でも成立するとされていますが、廃棄物処理委託においては事前に書面にて法令にて記載されていなければならない事項が含まれた契約を締結することとされています。つまり、契約書の締結なしに委託をした場合は法令違反となります。
廃棄物はその時の状況で勝手に処理先を変更できるようにすると不適切な処理をされても排出者はそれを把握することができません。又、廃棄物の不適切な処理は環境への悪影響や事故につながります。契約書はあらかじめ委託する廃棄物がどのようなものであって、それを誰がどのように処理するかを決め、それ以外の方法で廃棄物を処理すると法令違反となるようにすることで適正処理を確保することにつなげているといえます。
2026年1月に施行された廃棄物処理法の改正に伴い、契約書の見直しをされている方も多いかと思われます。改正に伴う追加点や一般的な法定記載事項等の解説は行政や団体で解説が多くされていますので、本コラムでは、実務的なポイントや注意しておきたいことを中心に取り上げてみたいと思います。
目次 1. 法定記載事項の記載におけるポイント
2. 法定記載事項以外に契約書に記載が必要な事項
3. 契約書の内容を作成する際の注意事項
4.契約書における運用と保管における運用ポイント
5. まとめ
廃棄物は完成したものがすでにあるわけではなく、契約締結後に委託する廃棄物が発生します。廃棄物のため、情報と完全に一致した状態になるとは限らなく、又、混合具合や発生量なども予定通りにならない可能性があります。行政が行っている通知の中には「契約書には法的記載事項を網羅する必要があるが、具体的な表現は、法令の趣旨に反しない限り、契約当事者に委ねられている」とされています。
廃棄物処理委託の契約は数量や単価は予定であり、法令の趣旨に反しない表現であればある程度までは許容されるととることができます。
(根拠となる通知は本コラム末を参照のこと)
可能な記載方法 | |
|---|---|
廃棄物の種類と数量 | 複数の種類が一体不可分のものについては各種類を明記し、数量は、合計した数量による記載 |
数量など① | 幅を持たせた記載(1~10㎏等) |
数量など② | 廃棄物の種類に応じ、車両台数や容器個数等の契約当事者双方が了解できる方法による記載 |
処理料金 | 幅があったり、別途料金表や見積書で定める形の記載 但し、別に定める場合はその書面の作成と保管が必要 |
留意点 | |
|---|---|
数量 | 委託する数量を保証してはいない (あくまでも予定。基本契約書であって個別契約書ではない) |
契約解除 | 自動継続の自動的な消滅条件の記載 (一定期間の取引実績がない場合は解約等) |
産業廃棄物処理委託契約書は基本契約書であり、法定記載事項以外にもその取引における必要な事項を記載しておくことになります。これらの項目(内容)は、当事者間で内容を決定することができる範囲でもあります。
【参考】一般的な契約書として盛り込まれている項目(契約書の頻出条項の例)
・守秘義務 ・契約解除、解約 ・期限の利益喪失
・反社会的勢力の排除 ・損害賠償 ・不可効力免責
・権利義務の譲渡禁止 ・準拠法と合意管轄 ・協議条項 etc
.
必要項目さえ満たしていれば、排出事業者自らで契約書の内容を作成したり、前述のように行政や処理業者側が用意した書式の内容の交渉をしたりすることは可能です。
但し、排出者責任を逃れるためのような文言を契約書に含めても意味がありません。
例えば、未処理廃棄物はすべて処理委託先の責任で処理するとしても、行政側から措置命令が出た場合はこの契約の内容を盾にして拒否することはできません。
民法においては「契約自由の原則」があり、締結した契約の内容が法令等に反しない限り、契約当事者の意思の合致によって契約内容を自由に決めることができます。
但し、法律の中には当事者の合意では塗り替えることのできないものもあります。それが、「強行法規」という公の秩序に関するルールです。契約者同士で合意していても廃棄物処理法上の強行法規の内容に反している場合は、無効と判断される可能性があります。廃棄物処理法において、契約締結ができていないということは委託基準違反になります。つまり、契約書があってもそれが無効と判断されると契約書の未締結と受け取られてしまうリスクがあります。
法令主旨に反するような内容や表現になっていないかを十分に検討したうえで作成が必要となります。
産業廃棄物処理委託契約書は各行政等から推奨する書式がでていることや処理業者側が採用している書式での締結が多く、それらを使用していればよほどのことがない限りは項目の抜け落ちは心配する必要がないといえます。
しかしながら、推奨書式を使用することで十分に内容を理解していないことにより、記載に抜け落ちがあったり、実際の運用等に即していない契約書になってしまわないようにする必要があります。
・情報の提供に関して項目だけで実際の情報を記載していない
・甲欄の記載事項とマニフェストの排出事業者欄と一致していない
・補足資料(別紙のとおりとしている見積書やWDS等)を合わせて保管していない
・契約締結後に生じた法改正に対応していない
・添付の許可証の期限が切れている、最終処分先の情報がマニフェストと異なる
・法定記載事項に追加があったが覚書で追加していない
契約書は締結をしていても内容に不備があったり、情報提供などは契約書に記載がある項目であっても、適切に運用されていないと判断された場合は法違反の対象になりえます。
最近では少なくなった事例ではありますが、電子マニフェスト運用に切り替えたが、契約書の報告に関する事項の記載更新をせずに紙マニフェストを使用するままになっていたりすることは多く見受けられました。更新管理をふくめ、定期的な見直しをすべきといえます。
【参考】衛環233号[改定]平成9年9月30日 衛環251号から抜粋
・委託契約に記載する事項のうち、委託する産業廃棄物の種類及び数量については、法及び令で規定する19種類の区分ごとにその数量を記載すること。なお、この場合、廃棄物が一体不可分に混合している場合にあっては、その廃棄物の種類を明記したうえで、それらの混合物として、一括して数量を記載しても差し支えないこと。また、数量については原則として、計量等により産業廃棄物の数量を把握し、記載することとするが、廃棄物の種類に応じ、車両台数、容器個数等を併記することなどにより、契約当事者双方が了解できる方法により記載することをもって代えることができること。
・契約書には、令第6条の2第2号に掲げる全ての事項の記載が必要であるが、契約書中における具体的な表現は、法令の趣旨に反しない限り、契約当事者に委ねられていること。
以上